With you~あなたと考えるブレストケアの会~2
乳がんにおける手術というのは、避けて通れない治療。
それに対して、化学療法などは「乳がんのタイプ」に合わせて行われる、個人向けの治療。
Aさんが○○というお薬で効果があったから、Bさんも同様の効果が期待出来る、と言う訳ではないんですね。
その薬を決めるのが、「乳がんのタイプ」で拙ブログでは何度か登場する
①LuminalA・・・・・ホルモン剤が効果的なタイプ
②LuminalB・・・・・ホルモン剤と抗がん剤が効果的なタイプ
③HER2・・・・・・・分子標的薬「ハーセプチン」とホルモン剤が効果的なタイプ
④TripleNegative・・抗がん剤が効果的なタイプ
と言う4つのタイプ。
それにプラス最近では、がんの活動値を示す「KI-67」という数値も重要な、薬を選ぶ判断材料となってきています。
と言っても、これらは手術をした時の摘出部分を調べる「病理検査」の結果によって、決定されること。
今では、大きくなった腫瘍を小さくしてから手術を行う「術前治療」も行われますが、この時参考となるのが「マンモトーム」などによる「組織診」の結果。
何故、薬による治療が必要なのか?と言うと、乳がんが乳管内にとどまっている(=非浸潤癌)状態である、と確認されれば、その患部を総て摘出してしまえば、ほぼ問題はないのですが、乳管の外に出てしまっている(=浸潤癌)状態であれば、既に目に見えない微細ながん細胞が血液やリンパの流れによって、遠い臓器にまで運ばれている可能性があるため。
遠い臓器に運ばれた微細ながん細胞を徹底的(?!)にやっつけてしまうためには、やはりがんのタイプにあった薬による治療のほうが、効果的だし有効性も高い。
最近は抗がん剤だけでは無く、分子標的薬の研究も進み、ここ3、4年で新しい薬が数々登場!
エーザイさんが開発した抗がん剤「ハラベン」は、三浦半島に生息する「クロイソカイメン」という生物から抽出した物質で作られた「日本生まれ」のお薬。
残念ながら、日本生まれの薬なのに治験などの実施は米国や欧州が先行し、日本で使用できる様になったのは、米国での承認から1年以上遅れ、と言う残念な薬でもあるんです。
日本での「治験」が進めば、医療費という側面からもプラスが多いのですが・・・なかなか理解されていない、と言うのが現状。
ちなみに、日本は抗がん剤など薬価の高い薬の輸入大国で、昨年の統計では輸出額-輸入額の差は、1兆円を超す、赤字だったそうです。
この金額の多さも、実は日本の保健医療制度を危うくさせている原因かも知れません。
輸入額のお話は無かったのですが、今の薬による治療の考えは「全身に散らばっている可能性のあるがんを、徹底的にやっつける。その為には、がんのもっている特性(=タイプ)に合わせたお薬で、効果的にやっつける」というのが基本。その為、比較的「早期」と判断されてもお薬の治療を始める、と言うコトでした。
新薬が次々に登場!!!と言う点でも、「フルベストラント(商品名:「フェソロデックス」)」という、これまでとは違うタイプのホルモン剤(閉経後の患者さん対象)が登場したり、HER2タイプの新薬として「パージェタ」と言う新薬が承認。治験中としては「ハーセプチン」と抗がん剤を組み合わせた「T-DM1(商品名:「カドサイラ」)」という薬も承認されるのでは?と言うお話でした。
新薬が次々に登場し、これまで治療が困難だったり薬が合わずに不安な思いでいた患者さんにとっては、本当に朗報なんですが・・・上述した通り、薬価が高く治療を続けるコトが困難になる患者さんも少なからずいらっしゃいます。
薬価の高いお薬ほど、世界に先駆け日本で開発・承認・発売となれば、製薬メーカーさんだけでは無く、医療費という点などでも、恩恵を受けるコトができる人は多くなるのでは?と、思いつつここまでの講演を聴いていました。
人工乳房を作っていらっしゃる池山社長さんのお話もまた、とても興味深いもので・・・。
分科会でのお話と、池山社長さんのお話は、次回に続く・・・って、引っ張っているな~私

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