さらな日記 

某水色サッカーチームを偏愛する、元気過ぎる乳がん患者。乳がんサバイバーを目指す、乳がん「備忘録」兼徒然日記 「さらな」とは、サンスクリット語の「安らぎ・癒し」と言う意味

メディアとがん

時々思うことがある。
「メディアにとってがんと言う病気は、とても便利なモノなのでは?」と言うこと。
と言うのも、昨年の今頃だったと思うが某有名大学病院の先生が「抗がん剤では、がんは治らない」と、雑誌に寄稿し話題になった。
この雑誌タイトルを見て「抗がん剤は、苦しいばかりでがんを治療しないんだ・・・」と、思った方も多かったと思う。
実のところ「固形がんと呼ばれる、血液以外のがんでは抗がん剤で完治する」というコトは、ほぼできないと言われている。
では何故、抗がん剤を使う治療を行うのか?と言えば、抗がん剤によってがんの進行を遅らせることができるから。
それを「延命治療」と言えばそうなるのだと思うけど、その「延命期間」が数ヶ月ではなく年単位となれば、話が違うのではないだろうか?
実際、抗がん剤の投与によって10年以上元気に過ごされている方も少なくない。
そのような重要な部分を書かずに、「抗がん剤は効果が無い」と言ってしまうのはいかがなものだろう。

そして今週発売された某一般週刊誌にも国立大学医学部の先生が「がん検診は、リスクが高いばかりで受診しないほうが良い」と言う内容の記事が掲載されている。
私もこの記事を書店で立ち読み(近所の本屋さん、ごめんなさい)をしたが、なんとなく違和感を感じる内容だった。
と言うのも、その多くが米国でのレポートを中心に書かれていたから。

たとえば「胃がん検診」。
「胃がん」の要因の一つとして上げられるのが「ピロリ菌」だと言うことは、ご存知の方も多いと思う。
この「ピロリ菌」、実は世代によって感染率が随分違う。
私のような50代以上だと、60~70%が感染している、と言われている。
反面今の20~30代だと、20~30%程度の感染率だという。
親と子どもの世代とでは、随分差があると言うのが分かる。
その理由は、冷蔵庫の普及と日本人の食事の変化がある。
そして「がん世代」と呼ばれる世代(60代以上)が、現在「ピロリ菌」をたくさん保有している世代なのだ。
一方、米国ではこの傾向が20年以上前に起こっている。
冷蔵庫の普及が日本より20年以上前だったから。
そのため、「がん世代」と呼ばれる世代で「ピロリ菌」を保有している人は、今の日本の20~30代より少ない可能性がある。
だから米国では「胃がん検診」を推奨していない、と言う現実がある。

同様に、3年ほど前「米国では、40代の乳がん検診を推奨しない」と言うレポートが発表され、日本でも話題になった。
丁度、私が精密検査をしている時だったので、当時検査を担当してくださった先生(=先日超音波を担当してくださった先生)に、直接質問をしたことがある。
その時の回答は
1.乳がん検診率が違いすぎて(米国70~80%、日本20%程度)、比較対象にはならない
2.現実問題として、日本では40代後半から罹患者数が増え始め50代前半でピークを迎えている
以上の2点から、米国でのレポートをそのまま日本に当てはめること自体、現実的ではない。
と言うことだった。

その後、「がん」と言う病気を私なりに勉強をして気が付いたことの一つに「民族的差があるのでは?」と言うことだった。
その一例に「肺がん」がある。
欧米の罹患者の9割は「喫煙」によるものと考えられている。
しかし、日本を含むアジアでは「非喫煙者で女性に、ある特徴を持つタイプの肺がん」罹患者が、2割程度いると言われている。
この数字は、欧米では見られない傾向だと言われている。
薬害として問題になっている「イレッサ」は、この「非喫煙者の肺腺がん」に対して効果が高い分子標的薬で、そこまでの臨床が確認される前に「肺がんの分子標的薬」として日本で最初に承認され、その後、この「非喫煙者の肺腺がん」の患者に対して効果が高く、他のタイプの患者には副作用が大きい、と言うことが分かったと言う経緯がある。
そのため、日本では「イレッサ」を使う患者さんは多くても、欧米では本当に限られた患者さんだけが対象となっている。
とすれば、米国で推奨できない「がん検診」だからと言って、「日本でも同様」と考えるのは、やや乱暴な気がするのだ。

おそらくこれから先の「腫瘍研究」と言うのは、もっと「民族的細胞レベル」での研究へと進んでいくのでは?と、感じている。
とすれば、「海外では××だから」と言う物差しで判断することは、難しいと思う。
逆に言えば、今の「がん世代」の人たちは、自分の健康のためだけではなく「日本人向けのがん治療と検診のあり方」のためにも、積極的に検診を受けるべきなのでは?と、思うのだ。
確かに、先日私が受診したPET-CTのように高額でも、早期のがんを見逃す可能性がある検査があるコトは確かだ。
問題なのは「市民検診」よりも、このような高額な検査のほうが効果的と宣伝され、効果が無いどころか逆に放射線を浴びるリスクが高い、と評価がされることだと思う。
「がん」と言う病気を特別視しすぎる余り、高価な検査でなくては早期発見できない、と言うイメージをメディアを含めつくり上げた上で、効果が無い、と言う流れになっているような気がしている。

メディアが取り上げる「がん」は、悲劇的なドラマかネガティブで効果が無いような内容が多い。
本当の日本のがん研究はもっと進んでいるし、悲劇的な病気だと言い切れない。
マンモグラフィの読診断の第一人者である遠藤登喜子先生のように、治療の最前線にいる医師だけではなく黒子として「がん」に取り組む数多くの医師もいるのだ。
そんな医師や研究者の熱意を削ぐような話題づくりのメディアでは、意味が無いような気がする。
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*Comment

 

こんにちはm(_ _)m
研究者は結論がこのようになるって
考えてから研究するので、恐らく米国
の結果が自分の求める結論に近かったので
しょう。
しかし、人種・環境・食文化など、
確かに考慮して考えないと、いけないって
事に気が付くなんて、流石ですね(^^)
将来このような考え方から、新薬などが
発達することを祈ります(^m^)
  • posted by 夢勇(ユメイサミ) 
  • URL 
  • 2012.02/10 21:58分 
  • [Edit]

 

こんばんは、夢勇さん。

「がん」と言う病気の特徴なんでしょうね。
世間的なイメージでは、日本はがん研究が遅れている
様な感じがありますが、基礎研究的な部分ではそれほど
遅れているわけではないようです。
ただ研究費は、桁違いのようですが(苦笑)。
むしろ問題なのは、「がん」と言う病気を特別視する余り、
メディアが便利の良いように取り上げている・・・
そんな気が最近しています。

「民族的細胞レベルの研究」と言うのは、既に進んでいて、
今日新聞などで話題になっている「成人T細胞白血病」などは、
その一つです。
  • posted by のんチャン 
  • URL 
  • 2012.02/11 20:22分 
  • [Edit]

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プロフィール

のんチャン

Author:のんチャン
某水色サッカーチームサポで、元重度鉄欠乏性貧血患者
2010年3月乳がんの手術。現在普通に生活。
乳がん「備忘録」兼サッカーやお料理などを気ままに不定期更新。
本業は、密かに「地域密着系スポーツ・マーケティングプランナー」を目指す、売れないマーケティングプランナー
母屋ブログはこちら↓
http://blog.goo.ne.jp/happy-kernel-0297

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