さらな日記 

某水色サッカーチームを偏愛する、元気過ぎる乳がん患者。乳がんサバイバーを目指す、乳がん「備忘録」兼徒然日記 「さらな」とは、サンスクリット語の「安らぎ・癒し」と言う意味

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臨床試験と治験-市民公開講座4-

光冨先生の後に講演されたのは、現在MDアンダーソンがんセンターで教授をしていらっしゃる上野直人先生。
がん患者さん以外の方にとって、MDアンダーソンがんセンターという病院名は、なじみが無いかも知れない。
テキサス州立大学内にある腫瘍専門の病院、それがMDアンダーソンがんセンター。
病院としてだけではなく、がん=腫瘍全般の研究などにも力を入れている、世界有数のがん専門病院。
その世界有数のがん専門病院の教授をしていらっしゃるのが、上野先生。
専門は腫瘍内科で、研究対象は「炎症性乳がん」というコトらしい。
一方で、患者さん中心のチーム医療の重要性も訴えており、日本では「オンコロジードリーム」という活動の中心的役割も果たしていらっしゃる。

「オンコロジー(=患者中心のチーム医療)」については、別の機会にエントリをさせていただきたいと思います。
患者にとっても医療関係者、そして社会全体に対して、重要なことなので・・・。
ただ、上野先生のお話の中では何度も「チーム医療(=医師だけではなく、看護師、医療コーディネーターと患者)」という言葉が出てきました。

がん治療における、米国と日本の差
医療レベルに関しては、大差はない(日本≦米国)。
新薬などの開発能力については、日本はとても高い(日本>米国)。
しかし「患者力」がとても低い
「患者力」というのは患者自身が自分のライフスタイルや将来のビジョンなどを含めた、希望を伝える力であったり、自分の病気に対する情報収集力、何よりも「自分で病気を治す」という気持ちが、相対的に低い。
医療行為とは、「医療を施す、前進させる、そして患者を育てる」コトだと考えている。
「大先生にお任せ医療」が、日本のがん患者の問題点、という指摘をいきなりされた。
「お任せ医療・お任せ治療」というのは、一見とても良い選択のように思えるけど、実は担当医師は患者さんのことなどほとんど知らない。
例えば、緩和ケアを希望するにしても、自宅中心の緩和ケアをしたいのか、病院での治療を希望しているのか?などは、患者さん自身がそれを言わない限り、医師にはわからない。
薬にしても、投与された薬による体調の変化なども、患者自身が言わなくてはわからない。

なぜそのような「(大先生に)お任せ医療・お任せ治療」となるのか?といえば、まだまだ日本では「がん」という病気が他人事だから。
医療の現場に、当事者である患者が参加していないから、患者自身が満足できる医療となっていないのでは?
というお話があった。
このお話を聞いていて思い浮かんだのは、小説「白い巨塔」。
テレビドラマにもなっているので、ご存知の方も多いと思いますが・・・。
当時のような教授回診の時にゾロゾロと若い医師がくっ付いて回診、そして患者がそれをありがたく受ける、というコトはまず無いと思うのだけど、患者意識の中にはまだ、そんなイメージが残っているのかな?

米国における臨床試験や治験
日本の場合、「縦割り行政」というコトもあって、大学での臨床研究の結果が承認されるということはない。
(大学の管轄は、ご存知文科省。医薬品の承認は厚労省、担当する省が違うので、医薬品の治験は大学での研究データを基にして、医薬品メーカー経由治験担当病院となり、ほぼ同じ内容の臨床試験を2回実施しなくてはならない。二重行政の弊害ですね)。
もう一つが、患者側の意識。
「治験=実験台」のような意識があるのが、日本。
米国では「治療選択の一つ」として受け止められている。
そして、「患者会」などの力がとても大きいこと。
「希望のちから」でも、Ⅲ相治験を実施するに当たっては「乳がん患者会」が、治験希望者を募り、その運営にも積極的に参加をし、発言をしていた。
そのような「患者会」が、積極的に治験の情報を患者に提供し、時には患者たち自身が主導的な立場になって、治験に参加をしている。
今では、それよりももう一歩進んだ活動として「Standup to Caner」という、市民活動も行われれている。

「Stand up to Caner」
がん患者やその家族および賛同者たちが中心となった、「癌の臨床研究、臨床試験、治験」などをサポートする米国の民間支援団体。
寄付活動といっても、米国3大ネットワーク(ABC,NBC、CBS)のゴールデンタイムに同時に、CMを流すほどの影響力を持っている。
もちろん、さまざまな企業が寄付活動に参加もしている(サイト上には、「マスターカードとMBLはスタンドアップ2キャンサーの活動を応援しています」というナレーションが流れるCMがある)。
「がん治療だけではなく、がん予防(リスクの軽減?)などの、基礎研究の必要性」を市民が持ち始めている。

米国における治験の現状
乳がんの分子標的薬「ハーセプチン」が、比較的短期間で承認された(といっても、研究開始から10年以上の時間が必要だった)のは、「HER2タンパク」という具体的なターゲットに対する治療薬だったから。
治験対象者も、最初から「HER2タンパク反応者」に限定していたため、その効果の高さを短時間で認められることができた。
実際には、治験にたどり着く新薬は本当にわずか。
臨床試験開始後、中止となる薬も数限りなくある。
そのような現状から、より明確に癌の分析を事前に行い、そのタイプにあった治験を実施する、という流れになってきている。
そのために必要なのは、バイオマーカーと呼ばれる患者さんからの生体(=手術で摘出した癌)。
摘出した生体から、分析をし、より具体的な「治験タイプ」を見つけることで、治験そのものの安全性を保つこともできる(この発言は、他の先生からもありました)。

私も手術をする前日にサインしたいろいろな同意書の中に、「手術で摘出した生体について、学術的研究への使用に同意する」という内容のモノがあったことを思い出した。
執刀してくださったスパルタな主治医の説明は、あっさりしていたけど・・・(笑)

治験を受ける注意点
どんな薬であっても、副作用はある。
そのリスクとベネフィティング(=「効果」や「利益」)を、きちんと説明を受け、患者自身が判断をする必要がある。
大切なことは、その「リスクとベネフィティングのバランス」。
効果ばかりしか言わない、エビデンス(臨床研究から得られた客観的統計による結果)がわからないモノは、疑うべき。

治験だけではなく、すべての治療を受けるにあたって大切なことは「メディカルリテラシー(医療に対する読解力)」を身に付ける事。
そのためにも「患者力」をつける必要がある。
医師にチャレンジすること=自分の生活ビジョンや希望、考えを示すことが、医療を進めることにもつながる、という意識を患者自身が持って欲しい

上野先生のお話は、患者としてとても勉強になるコトが多く、内容も濃かった
癌という病気だけではなく、風邪などで病院にかかった時にも意識して欲しい内容でしたので、量的にも多かったのですがUpさせていただきました。

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  • at 2011.11.04 21:04 
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のんチャン

Author:のんチャン
某水色サッカーチームサポで、元重度鉄欠乏性貧血患者
2010年3月乳がんの手術。現在普通に生活。
乳がん「備忘録」兼サッカーやお料理などを気ままに不定期更新。
本業は、密かに「地域密着系スポーツ・マーケティングプランナー」を目指す、売れないマーケティングプランナー
母屋ブログはこちら↓
http://blog.goo.ne.jp/happy-kernel-0297

乳がんと闘うみなさまへ
「患者力を高める5のポイント」
1.不安や疑問があった時は、再予約をしても聞くようにする
2.大切な面談(検査結果を聞くような時)は、家族や友人と一緒に聞く
  もし、一人で行く場合は、レコーダーなどに録音をする
3.聞きたいコトは、5つ程度のポイントにまとめ、メモにし診察時に見せるようにする
4.自分の希望や考えを伝える
5.医師の目を見て話す
  もし、目を背けるような担当医であれば、「○○先生」と呼びかてでも自分に向かせる
 
以前出席させていただいた「J&J・乳がんメディア&ブロガーセミナー」で、医療ジャーナリストさんがお話されたコトです。
是非、参考にしてください。
そして「がんサバイバー」を目指しましょう。

乳がんについて詳しく知りたい方へ
日本乳癌学会のサイト内に、一般向けサイトがあります。
リンクを貼りましたので、そちらからアクセスをして下さい。
乳がん?と思ったら、必ず専門医に相談をして下さいね。
そのための参考サイトです。

「質の高い乳がん検診」を受けるため、NPO法人日本乳がん検診精度管理機構認定の施設、マンモグラフィ読影医師、そしてマンモグラフィ放射線技師のいるリストを参考にしてください。
「施設・読影医師・放射線技師」の3条件が揃うことが、重要です。
それぞれのリストをリンクしました。ぜひ参考にしてください。


国立がんセンター精神腫瘍学グループでは、患者さん向け「質問促進パンフレット」等を用意しています。
下記リンクよりアクセスをお願いします。
PDFファイルですが、是非、重要な面談の時の質問などにご活用ください。

名古屋のがん拠点病院で「傾聴会」を開催している、NPO法人ミーネット。
乳がんに限らず、がんについて不安なことがあれば気軽にご相談下さい。
また、市民向け公開講座なども開催しています。
下のリンクよりスケジュール等、ご確認下さい。

乳がんと子宮体がん経験者の桃杏さんが、乳がん患者さん向けの傾聴会を東京で始められました。
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